なぜかというと、問題の展示を把握して、実際に撤去するまでの「初動対応」に思いのほか時間がかかっているからだ。

 帝国ホテルに行ったことがある人はわかるだろうが、「MEDEL GALLERY SHU」はガラス張りで中は丸見えだ。しかも、1階入り口の正面で、みゆき通りからインペリアルタワーに入った利用者の目にすぐに入ってくるロケーションにある。

 つまり、10月3日から「お籠もり会」が始まった時点で、ギャラリーから作品の報告を受けるまでもなく、帝国ホテル側はインペリアルタワーにさえ行けば「問題」を認識できたはずなのだ。

 実際、SNSにはインペリアルタワーにたまたま行って、外からこの作品群を見てギョッとしたという人もいた。

 しかし、この作品が撤去されたのは展示されてから一定期間が経過した後だ。帝国ホテル側が撤去を求め続けていて、ギャラリーやアーティストが激しく抵抗していたとかであればわかるが、現時点でそういう情報はない。

「お籠もり会」の主催キュレーターであるneko氏は10月6日には「一応早めに来ておいた方が良いかもです」「歴史上もう二度とない展示だとは思いますしね、色んな意味で」と投稿している。

 主催者側もかなりリスキーだと思っている展示について、帝国ホテル側が自主的に対応しなかったというのは、かなり問題ではないか。

 この「感覚の麻痺」はさまざまな人を迎える商業施設、特に高いホスピタリティーが求められる高級ホテルとしては、かなり「異常」だと言わざるを得ない。

現代アートに潜む
企業が恐れるリスク

 ネットやSNSの荒れっぷりを見てもわかるように、いくら「芸術」「表現の自由」「創作物」と説明されても、幼い女児が全裸になっていたり、あどけない少女が性的に描かれたりするイラストに嫌悪感を抱く人は多い。自身が過去に性加害や性的搾取の被害者になった女性やその家族などからすれば、心の傷をえぐるようなものだ。

「特に表現の自由に関わることだから、各テナントの事業内容に施設側が細かく口を出すのは難しい」というホテルに対して擁護的な意見もあるだろうが、それは日本を代表するラグジュアリーホテルにしてはお粗末すぎる。

 企業危機管理のプロたちの間では「現代アートの小児性愛リスク」は常識となっているからだ。