本連載では2024年8月8日付の記事で、同社が使用済み漁網を携帯電話や自動車部品に使う樹脂へと再生する事業を取り上げた。そこで論じたのは、環境配慮を競争優位につなげる可能性だった。今回は同社のインド拠点を通じて、成長市場を支える産業基盤と供給網の実態を考えたい。
材料メーカーを見る利点は、完成品の生産地だけでは分からないつながりが見えることだ。自動車部品をインドでつくっていても、その材料はどこでつくられ、原料はどこから来るのか。取材で印象に残ったのは、「インドでつくる」という言葉の内側に、いくつもの段階があることだった。
「組み立て100%」と
「現地調達100%」の違い
マザーサンスミで生産されるワイヤーハーネス
インド政府は「メーク・イン・インディア」を掲げ、製造業への投資や技術開発を促してきた。しかし、工場を国内に置くことと、その工場を支える供給網が国内にそろうことは同じではない。その違いが分かりやすかったのが、フランスの自動車部品メーカー、バレオのプネー工場である。見学した車載充電器などのパワーエレクトロニクス製品について、同社は、組み立ては100%プネーで行っている一方、必要な部品の現地調達は約50%だと説明した。
エンバリオでも、樹脂に加えるガラス繊維について、中国や欧州からの輸入が必要だとの説明を受けた。その費用が材料価格に反映されるため、人件費が低いだけで大きな価格優位が生まれるわけではないという。製品の生産地から一段上流へさかのぼると、輸入依存が見えてくるのである。
日系企業の要求が
材料の現地化を促す
一方、その供給網は固定されたものではない。日刊自動車新聞2026年9月25日付のWeb版記事「独エンバリオ、インドでの投資を拡大 日系企業の現地化調達需要を取り込み」によれば、同社はプネー近郊の工場に、2028年半ばまでに少なくとも1ラインを増設する方針だ。同記事によれば、日系部品メーカーから「インドですべての材料を現地化したい」との要望が強まっている。エンバリオは現在、一部の製品を中国や欧州から輸入しているが、今後は製品群を広げ、ほぼすべての製品をインドで現地化する方向だという。







