気になっている方も多いだろうが、VIVANTはシーズン2になってから、別班司令部に自衛隊のマークではなく、皇室の「菊の御紋」を思わせる紋章が掲げられていたりと、「ん?」という描写が増えている。

 そこに加えて、少年ジャンプのヒーロー漫画的な要素が色濃くなってきた。

「別班」が世界中に隠れ家があって武器を隠し持っている秘密組織で、メンバーの精神力も戦闘技術もハイテク装備も世界一、よその国で軍事作戦をしても、シンシー側と激しい銃撃戦を繰り広げてもお咎(とが)めなしなんてのは、現実の自衛隊や公安・内調の人間を知る者からすれば「ファンタジー」すぎる。

「そんなもん007シリーズとかスパイアクション映画とかもみんなそうじゃん」とお叱りの言葉が飛んできそうだが、ファンタジーが悪いわけではない。VIVANTの場合は「特定のイデオロギー強めのファンタジー」になってしまっているのが問題なのだ。

 エンタメ作品なのでとことんファンタジーに徹すればいいのに、わざわざ「現実っぽいウソ」を織り交ぜているところが、視聴者をおかしな方向にミスリードする「プロパガンダ」になっていると申し上げているのだ。

 わかりやすいのは、堺雅人さん演じる主人公たちが、シンシーに捕まって拷問を受けていた別班メンバーを救出して、架空の国家ゴルバド共和国の空港からジェットで離陸しようとしたシーンだ。

 追跡してきたシンシーは、ゴルバドの治安組織にジェットのエンジンを狙撃するように命じる。そこで主人公は、世界最高のハッカー、ブルーウォーカーがすでに掌握していたシンシー本部の通信網を通じて、シンシーのボスにこんなことを言う。

「エンジンでもタイヤでも撃ちたければ撃てばいい。お前らの情報はすでに我が日本に伝えてある。もしこのジェットに何かあれば、西側諸国は大挙してお前らを潰しにくるだろう」

 ボスは「ぐっ」と苦虫を噛み潰したような表情になり、主人公たちのジェットが飛び立つのをただ見送るしかない。勝ち誇った主人公はシンシーの本部にも聞こえるように大音量で「別班儀礼曲」を流して意気揚々と飛び立っていく――。

「これのどこがプロパガンダなのだ、第2シーズン最高の名場面のひとつじゃないか」と気を悪くした方がいたら最初に謝っておくが、これはいかにエンタメ作品であっても、かなり注意が必要な描写だ。日本人の国際社会の認識をバグらせてしまう恐れがあるからだ。