黒字化できない、人件費を払えない…
人手不足倒産に潜む「もう一つの原因」
かつては和歌山県内でトップクラスの木造建築工事業者として知られた「国土建設」は、職人不足による外注費高騰の影響もあり倒産に追い込まれた1社だ。同社は1979年の創業当初は不動産売買を主体としていたが、96年頃からは木造建築工事に進出。造成土地の仕入れから戸建て住宅の建築工事、販売まで手がけ、2006年4月期には年売上高約26億6900万円を計上していた。
しかし、業容拡大に伴う在庫負担が重く、年商規模で推移する借入金の返済も重荷となって余裕のない資金繰りとなっていた。2019年4月期の年売上高は約14億8400万円に減少するなか、2021年には大阪市内に拠点を開設するなど営業エリアを拡大していたが、職人不足による外注費の高騰や仕入れコストの上昇もあって、2024年4月期は大幅な最終赤字を計上していた。
この間、取引金融機関に対して借入金の返済猶予を要請するとともに、自社ブランドの戸建て住宅販売に注力していたが、近時は取引先への支払い遅延が表面化。2026年6月に入り、負債約15億7300万円を抱えたまま全従業員を解雇し、6月5日に和歌山地裁より破産手続き開始決定を受けた。
人手不足倒産という名前だけ見ると、「従業員を確保できない企業の倒産」に映る。だが実際には、人件費や外注費の上昇に耐えられず収益力を失うケースも少なくない。
大阪市内でシステム受託開発を手がけていた「デジタルソリューションズ」は、5月15日に大阪地裁より破産手続き開始決定を受けた。同社は、増大する人件費を吸収できず、資金繰りに行き詰まった1社だ。
デジタルソリューションズは2003年12月、代表の大手メーカーのシステム開発部門での勤務経験を生かして設立された。機械メーカーなどの生産管理システムの構築を中心に、生産拠点での制御系システム、仮想化やネットワークといった情報基盤構築のほか、一時は技術者の派遣業務も行っていた。システムベンダーから安定した受注を獲得し、2019年3月期には年収入高約1億100万円を計上していた。
しかし、新型コロナの影響で開発案件のキャンセルが相次いだうえ、固定費負担が重荷となり、2021年3月期は営業損益段階から多額の赤字を計上して債務超過に転落していた。このため、金融機関からの借り入れで資金繰りを維持しつつ、利益率の高いパッケージ商品の開発にも乗り出し、2023年3月期の年収入高は約1億4000万円を計上したものの、増加した人件費を吸収できず連続して赤字を計上。年商規模に膨らんだ借入金の返済見通しが立たなくなり、約1億5200万円の負債を抱えたまま事業継続を断念した。







