だからこそ安く売って存在感を高めたい。そう考えた瀬戸がネットを丹念に検索していると、偶然、東芝タンガロイ(現タンガロイ)や三菱マテリアルといった日本のトップメーカーの商品が海外でも売られていることがわかった。
考えてみると日本製の切削工具は世界中で使われているから、チップも海外で流通しているのは当たり前。さらに調べてみると、かなりの量が韓国で流通していることがわかった。
「韓国では年に1回、メーカーが工具商に商品を安く売る慣習があることがわかりました。チップって腐るものじゃないから、現地の卸売業者はそこで大量に買い込み、タイミングを計って売る。日本のメーカーもこのバーゲンにそっぽを向いているわけにもいかないようで、日本のトップブランドのチップが韓国で安く買えたんです」
そこで瀬戸はハングルを勉強、日本製チップを扱う卸売業者がいないかと探していると、韓国第2位の卸売問屋でソウルに本社を置くドンシンという会社に辿り着いた。幸いなことにホームページには担当者のメールアドレスが載っていた。
韓国で見つかった
日本製工具の意外な安さ
手や足をこまめに動かしていると、幸運は舞い込むものらしい。そうして出会ったドンシンの担当者は非常に親切で、切削工具のチップだけではなく、韓国の間接資材事情もあれこれ教えてくれた。そのうちの1つが、郊外にある巨大な卸売団地「クロドン」の存在である。
クロドンへ行って、瀬戸と室は2つの発見をした。1つは商品の多さだ。
「びっくりするぐらいいろんな商品がありました。マスクとか電池とか。安売りの目玉商品になりそうなものがたくさんあったんです」
『時価総額1兆円企業の作り方 モノタロウの9000日戦記』(秋場大輔、講談社)
こうした商品はどこで作られているのか。当然、「メイド・イン・コリア」もあったが、中には「メイド・イン・チャイナ」があった。
「クロドンでも十分に安く売られている。でも、このメイド・イン・チャイナ製品の流通経路を辿っていけば、もっと安く手に入るんじゃないの?」
2人はさらに“上流”を辿ることにした。行きついた先は広西チワン族自治地区、吉林省、四川省……。「さらにその先」と追い求めていくとインド、パキスタン、さらにはレバノンにも足を延ばすことになった。瀬戸はこう振り返る。
「元商社マンの血が騒いじゃったかな。徹底的に調べて足を運びました。そのおかげで一時はどの間接資材が世界のどこの工場で作られているのかを知っていましたよ」







