商品、サービスの告知、企業宣伝……、いまやWebサイトは、企業活動に欠かせないメディアである。ビジネスモデルの差異に関わらず、自社サイトを持っていない企業は、きわめて少数だろう。

 だが、その自社サイトが、企業業績にどれだけ貢献しているのか? と問われると、少々懐疑的にならざるを得ないという担当者も多いのではないだろうか。

 今回は、そんな懐疑を払拭することになるかもしれない新サービスをご紹介する。

ラインナップは、「ライト」「プロ」「ビジネス」の3種類。「プロ」「ビジネス」は、複数のオペレーターを設置でき、ユーザーとの会話をファイル保存することもできる。

 システム開発などを手がけるネットシステムズ(東京都目黒区)が発表した「WebChat(ウェブチャット)」は、Webサイトの訪問者との「リアルな対話」を可能にするチャットシステムである。同システムを導入すると、企業側の担当者などのオペレーターが、「オペレーターとのチャット」を選択したユーザーに直接話しかけられる。逆に、ユーザー側から質問など、オペレーターに話しかけることも可能だ。

 導入の手順は、アクセス解析などと同様で、専用HTMLをサイトに貼り付けクライアントソフトをインストールするだけ。アクセス解析の導入などと同様で、専用サーバーの導入など大掛かりな準備が必要なく、初心者でも簡単に設置できる。その手軽さもウリである。

 実は、日本IBMは、自社サイトを閲覧しているユーザーに製品開発者が直接話しかけられるサービスを独自で展開しており、「WebChat」は、いわば、その汎用版。だから、というわけではないか、この新サービス、Webサイトの有効活用を模索する企業担当者にとっては、なかなか注目に値するものだと思われる。それは、同システムがWebサイトを「メディア」から「チャネル」へと進化させる可能性を持っているからだ。

 購買や応募など、なんらかのアクションを起こす前の情報収集の際に、皆さんは、どんなメディアを利用されるだろうか? 「まずサイトをチェックする」という方がおそらく大多数だろう。すなわち、「webサイト」は、商品やサービス、企業活動などを告知し注目を集めるためのメディアとしては、その有効性が幅広く認知されている。

 だが、さらに進んで「チャネル」として有効であると言えるためには、それだけでは足りない。「チャネル」である以上は、購買や問い合わせ、応募といったなんらかの「行動」を促し、決定させるという働きが求められるからだ。営業マンならば、おそらく、「そこは、まだまだ“生身の人間”の出番」と主張するに違いない。そうした営業のプロが持つコミュニケーション・ノウハウを組み込むことが、Webサイトをメディアからチャネルへと進化させるひとつの方法論と言えるだろう

 臨機応変で複雑な説明が必要な商品やサービスの販売チャネルの拡大、ユーザーに対するアフターサービスの質の向上などに活用できそうな「WebChat」。だが、その一方で、商品・サービスの特性やターゲットの属性などによっては、「生身の人間の介在」がマイナスに働く場合もあるだろう。この新チャットシステムをどんな分野でどのように活用するかについては、担当者の腕次第、というところだろうか。

(梅村 千恵)