自分をどこまで
さらけ出すべきか

堀江 そういう蜷川さんが苦労した話、もっと聞きたいですよね。僕も今回『ゼロ』を書いて、いろんな反響が届くようになって気づかされたんですけど、ちゃんと自分を発信していかないと、多くの人は表面だけを見て「あいつはラクして成功しやがって」みたいに思ってるんですよ。蜷川さんに対しても、親の七光りで、写真も映画もうまくいって、なんか腹立つ、みたいな感じで悪口言ってたりすると思うんです。

蜷川 うん、超ある。特に映画のときとかね。ボッコボコに書かれましたよ。

堀江貴文（ほりえ・たかふみ）
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。元・株式会社ライブドア代表取締役ＣＥＯ。民間でのロケット開発を行うＳＮＳ株式会社ファウンダー。東京大学在学中の1996年、23歳のときに有限会社オン・ザ・エッヂ（後のライブドア）を起業。2000年、東証マザーズ上場。2004年から05年にかけて、近鉄バファローズやニッポン放送の買収、衆議院総選挙への立候補などといった世間を賑わせる行動で一気に時代の寵児となる。しかし2006年1月、証券取引法違反で東京地検特捜部に逮捕され懲役2年6ヵ月の実刑判決を下される。2013年11月に刑期を終了し、ふたたび自由の身となって「ゼロ」からの新たなスタートを切ったばかり。

堀江 でも、もしかしたら成功者みたいに見えるかもしれない僕らも、こんだけコンプレックス抱えて、こんだけちっぽけな人間なんだというのは、伝えていったほうがいいと思うんですね。自分が裸になってこそ、ようやく相手も受け入れてくれるというか。僕なんて、今日も最初は緊張してたくらいシャイだし（笑）。

蜷川 私も緊張してた。「あっ、ホリエモンだ」って（笑）。

堀江 第一線でやってる人はわざわざ言わないけど、みんなものすごい努力して「いま」があるわけで。

蜷川 そう。でも昔は「そんなの言わなくていいじゃん」って思ってませんでした？

堀江 思ってましたね。

蜷川 コンプレックスとか苦労話とか、どこまで言うべきなんだろうって。

堀江 ただ、なにも言わなければ誤解されるのは身にしみてわかりました。

蜷川 堀江くんの場合は、全国規模というか日本国中が見てたので。たしかにちゃんと説明したほうがいいんだな、というのは堀江くんの姿を見ながら思いました。

堀江 だから今回の『ゼロ』で裸になって、たくさんの方々から「いままで誤解してた」「ようやく堀江貴文が理解できた」という感想をいただいてますよ。

蜷川 しかも、自分が「この人は理解してくれてるだろう」と思ってた人も、意外と誤解してるところがあったりしますよね。

堀江 そうそう。蜷川さんはこういう感じの本って出してないんですか？ 写真集以外で。

蜷川 うーん、自分自身について深く語った本はないですね。

堀江 どこかで自分をさらけ出してみるのって、意外といいですよ。自分でもすっきりするところがあるし、発見もあるし。

蜷川 そうかなー？ たしかに『ゼロ』はかなり話してたもんね。

堀江 もちろん、墓場まで持っていかなきゃいけない情けない話もいっぱいありますけど（笑）。

蜷川 それは、私もいっぱいある（笑）。

堀江 ありますよね？

蜷川 そりゃあ、言えない話はいっぱいありますよ（笑）。