(左)様々なキャラクターと「かけっこ」を楽しむことができる。山口市の商店街では親子連れの姿が多数見られたという (右)走ったデータがQRコードに記録され、メッセージと共に壁一面に貼られる。これらの記録に挑戦することもできる

 スクリーンに映し出される様々なキャラクターと「かけっこ」できる「スポーツタイムマシン」という装置が注目されている。このゲームは、自分の過去の記録に挑戦したり、家族や友だち、動物、ゆるキャラなどと競争することができる。

 自分の走ったデータは、QRコード付きの用紙に記録され、それを壁に貼っておくことで他の人から走る相手に選ばれることもある。また、スポーツタイムマシンのサイトから自分の走りを3Dムービーで見ることもできる。

 昨年夏、山口情報芸術センター「YCAM(ワイカム)」の10周年記念事業内の公募に、開発者である犬飼博士氏と安藤僚子氏が応募し入選したのがこのプロジェクトの始まり。入選を機に山口市の商店街に設置され、昨年の7月から12月までの5ヵ月間で3178人が登録し、のべ1万1149回のかけっこが行われるなど、子どもから大人まで幅広い層に支持された。

「人がめっきり少なくなってしまった商店街に、家族連れや子どもの歓声が聞こえるようになった」と語るのは、同プロジェクトの広報を担当する河口隆氏。プログラマーとしてタイムマシンの制作にも携わり、立ち上げ時の苦労も経験している。

「人もお金もない中、多くのプログラマーがボランティアで参加してくれました。テクノロジー関連だけでなく、現場の塗装や配線、陸上用のマットはロールで100kgの重量なのですが、この運搬も地元の植木屋さんが助けてくれました」(河口氏)

 開発者である犬飼氏と安藤氏の、山口の方々と共につくりたいという思いが地元の賛同を得た。「東京でつくったものを単にもっていくのではなく、その場に根ざしたものを作ろうという気持ちがありました」(犬飼氏)