今年もまた東洋経済から「CSRランキング2014年版」が発表された。CSRに関するランキングとしては、日本を代表すると言っても過言ではない同ランキングだが、正直に言って、ランキングが発表されるたびにどうにもやりきれない気持ちになることも確かだ。違和感を感じると言ってもよい。なぜか?
それは、僕がCSRに求める大事な要素が、このランキングには決定的に欠けているからだ。もちろん、これは東洋経済のランキングなのだから、どのような基準でランク付けするかはそれこそ東洋経済の勝手だ。僕がどうこう言うべきことでもない。東洋経済が勝手に「これがオレ様が決めたランキングだ!! 文句あるか!?」という姿勢を貫けばよい。
しかし、これが日本の代表的なCSRランキングであることから、「ここの上位にランクインした企業のCSRは素晴らしい」と、多くの人が無条件で信じてもらっても困るのだ。なぜなら、それでは日本企業のCSRは進化しないからだ。
企業の成長に寄与しない
CSRは意味がない
まあ、CSR業界というのは「CSRとはなんぞや?」という議題を巡っていまだにいわゆる「神学論争」を繰り広げている業界だから、うかつに「CSRの進化」などと言ってしまうと、形而上学志向のCSR論者のみなさんに新たな議論のネタを提供してしまいそうで嫌なのだが、今回はあえてこう言い切っておく。
CSRはもっと進化すべきだ。それは、企業の成長により深く、大きく寄与する方向に向かってだ、と。
そもそも、基本的にというか大前提として企業のあらゆる活動は、その企業の長期的な成長に寄与するようなものでなくてはならない。逆に言えば、成長に寄与しないことは企業活動としてはNGである。
たとえ役員や営業部長が銀座で高いメシや酒を喰らっていたとしても、それが「接待」という名の「成長戦略」につながるならば、その活動費も企業は認めてくれる。また、昨今の先進的な企業では、社員食堂がオシャレなカフェになっていて社員はタダだったり、社内でマッサージやネイルのサービスを受けることができたりするが、これも福利厚生を厚くして優秀な社員を確保したり、社員のクリエイティビティを上げることに役立つ限りは、その予算も無駄ではない。
しかし逆に、いくらその活動が世の中のためになったとしても、その企業の成長に寄与しないCSRは、その企業にとって全く意味がない、というか害悪でさえある。そう言うと反発する人もいるかもしれない。たとえ自社の成長には役に立たなくても、社会の役に立つことをやる、それは意味のあることではないかと。
しかし、そのように考える人は、社会的弱者というものを企業の外にしか見ることができない視野の狭い人である。