一般社団法人RCF復興支援チームの代表として、東北復興において官民のコーディネート役を担う藤沢氏。東日本大震災以降、現地に足しげく通い、政府や企業、NPOと連携をはかってきた。「被災地には今、ビジネスプロフェッショナルが必要だ」と断言する藤沢氏に、被災地の現状と今後、民間に求められること、必要な人材などについてお話を伺った。

ノルウェーの漁師は
平均年収900万円で若者に人気の職業

ふじさわ・れつ
一橋大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立。 NPO・社会事業等に特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、RCF復興支援チームを設立し、情報分析や事業創造に取り組む。2013年8月まで復興庁政策調査官、また現在では文部科学省教育復興支援員も兼務。共著 に「日本のジレンマ ぼくらの日本改造論」(朝日新聞出版)、『「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会』(春秋社)。

南 東日本大震災から3年が経ちました。今、現地で必要とされていることを教えてください。

藤沢 事例をひとつお話しさせてください。日本では漁師の人口が減少していますが、ノルウェーで水産業は若者に人気の職業であることをご存じでしょうか? 漁の方法や養殖技術に日本と大きな違いはありませんが、ノルウェーでは漁業に付加価値があり、資源維持に配慮した効率的生産が進んだ結果、漁業者の平均年収が900万円に達するほど高収入職業になっているのです。

南 だから若者にも人気の職業なのですね。

藤沢 はい、その通りです。東北でもノルウェーのように既存事業をつくり直すことで、地域の活性化につながると考えています。震災から3年が経った今、東北には地域づくりや事業づくりを推進する担い手が必要です。復旧から復興へフェーズが変わるにつれて行政から民間に主導権が移っていますので、企業で経験を積んだビジネスプロフェッショナルの存在がより必要になってきました。

 実際に、各自治体では水産物や農産物など地域にあるものを活かして新しい事業をつくっていこうという動きが活性化しています。いつまでも「復興支援」という名目で商品を買ってもらえるわけではありませんからね。消費者が欲しいと思う商品をつくるために、商品づくりやマーケティングを一から見直し、事業そのものを作り直していくことが求められています。