大手ゼネコン4社の3月期決算は、鹿島と大成建設が最終赤字に転落し、清水建設、大林組も大幅な減益となりました。
その原因の一つが、海外の不採算事業です。大手はドバイやシンガポールなどで大型のプロジェクトを進めて来ました。しかし、景気の悪化や、アルジェリアのゲリラ出没といった想定外の問題にぶち当たります。
その結果、海外の損失は雪だるま式に膨れ上がりました。今特集号では、「海外進出したゼネコンの実態」を一覧表も交えてご紹介します。
海外だけでなく、国内も深刻です。昨秋の世界的な不況から、民間の工場建設が相次いで凍結されました。大型開発事業にもブレーキがかかりました。
これらの影響をこうむった企業や自治体は数知れません。「工場凍結マップ」と共に、現状をお伝えします。
では、頼みの「公共事業」はどうでしょうか。国の経済危機対策では、「100年に一度の危機」として、未曾有のバラマキが予定されています。
しかし、公共事業は、既存事業の前倒しや拡充策で将来的な視野に欠けるものばかりです。業界の期待も薄いのが実情です。北海道と北陸、宮崎、長崎といった地方のレポートとともに、公共事業の中身や国の対策をみていきます。
また、ゼネコンが赤字体質になる理由を明らかにします。そして、ゼネコン再生のための3つの提言をします。暗い話題だけでなく、「だるま落とし」のようにビルが解体される技術など、ゼネコンのもつ知られざる技術にも焦点を当てます。
こうした環境下で、慌しくなるのが業界再編の動きです。大成、清水、西松、フジタ……各社の思惑はどこにあるのか? 大手ゼネコンによる再編はできるのか? 創業家の研究をして、真相に迫ります。
さらに、一足先に淘汰の荒波に襲われた不動産業界にも着目します。なかでも、新興不動産会社の状況は深刻です。“物件売却リスト”が出回り、経営の厳しさをうかがわせるダヴィンチなどの会社に加え、大手不動産会社の現状も分析して行きます。
オフィスの平均空室率の上昇やマンション完成在庫の増加など、不動産市況の低迷がボディブローのように効いている実情がわかるはずです。
もちろん、おなじみとなった上場不動産会社125社・建設会社191社の経営危険度もランキングで掲載します。投資家必見のリート市場ランキングも3つの視点でご紹介します。
最近、近所の建設現場から工事の音が止まったり、隣の新築マンションの空室が目に留まったりしませんか?
そういった身近な状況を解きほぐし、今後の手がかりを得ていただけるよう、最新データをふんだんに取り入れた今特集号をお届けします。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 小島健志)