東大日次物価指数(消費税を除く)は6月中旬以降、前年比マイナスの状態が続いている。

 渡辺努・東京大学教授らが作成している同指数はスーパーマーケットのPOSデータを集計したもので、速報性に非常に大きな価値がある。7日間平均は4月7日に前年比+0.73%へと急上昇した。スーパーは増税以上の値上げにチャレンジしたわけだが、消費者はその動きについてこられなかった。

 その後、スーパーは特売を増加させたらしく、4月下旬から6月上旬にかけて、同指数はマイナス圏とプラス圏を行ったり来たりしていた。しかし、6月中旬以降はプラス圏に浮上できなくなった。7月1日には▲0.47%を記録している(つまり、消費税の転嫁がやや剥がれ始めている)。

 最近、表面の価格は同じでも、内容量が減らされている食品が増えている。そういった「ステルス値上げ」は東大日次物価指数では捉えられていないかもしれない。しかし、それにしても、多くの企業は今、どの程度の価格ならば消費者は受け入れてくれるのか、「値ごろ感」を探る動きを示していると思われる。

コンビニで起こる価格駆け引き <br />円安と増税効果が剥がれる物価上からセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのジャム&マーガリンパン。内容量と価格が微妙に異なる
Photo by Izuru Kato

 同業者間の微妙な駆け引きが、コンビニのパンで起きている。いちごジャム&マーガリンパンの価格(税込み)は、セブン-イレブン(以下セブン)100円、ファミリーマート108円、ローソン113円だ。セブンが一番安いものの、大きさは他2社より圧倒的に小さい。1グラム当たりはセブンが一番高いかもしれない。

 市場関係者が集まった飲み会で、それらのパンを見せたところ、食欲旺盛な若い世代は躊躇なく大きい方を選んだ。しかし、女性からは、小さくても品質が良さそうなセブンがいいという声が聞こえた。コーンマヨネーズパン、バター風味パンも同様に、3社の中でセブンが最も安く、かつ最も小さい。