たとえば、営業マンが工作機械を売り込もうとしたところ、あっさりと「購入しません」と言われたとする。繰り返しお願いをしても、首をタテに振ってもらえない。そんな場合は、こう聞いてみたらどうだろう。

「あくまで仮の話ですが、保守サービスが24時間以内に駆けつける体制になっていたとしたら、購入していただけますか?」

 その答えから相手の本音が見えてくる。

「それなら購入できるかもしれません。じつは、その点が気になっていたのです」などと、購入をためらう理由が聞けるかもしれない。それがわかれば、あとは保守サービスの体制を改善できるかどうかを検討すればよい。

 また、その質問をきっかけに、売上げが伸び悩んでいるのは保守サービスに原因があるかもしれないとわかる。社内でサービス体制を見直そうという議論にもつながるだろう。

 人が商品やサービスを購入しない理由は、価格とは限らない。そんな相手に値引きを続けても商談は成立しないのだ。

 イフの質問をすれば、たとえ明確な答えが聞けなかったとしても、相手の口調や表情などから、価格しだいで購入してもらえるのか、それとも本当は別のところに問題があるのかを推測できるだろう。