そこで私は「おそらくこれ以上は下がりません。この金額で合意しましょう。いつ頃2万ドルを相手に送金できますか?」と聞いてみた。
クライアントは「まだ決めていませんよ」と言いながらも、このひと言で「和解しよう」という気になったようだ。本社の承認を取った後、正式に「○月末日付けで2万ドルを送金します」と伝えてきた。
相手の気持ちは合意へと傾いているのに、最後の決断になかなか踏み出せないことがある。そんなときは、合意が得られたという前提で質問を投げ、相手の背中をそっと押してあげよう。
たとえば、商品の購入を最後までためらっている取引先に向かって、「お支払い方法は、いつものように翌月末の銀行振り込みでよろしいでしょうか?」と質問してみる。
大事なのは、相手にとってメリットがある場合にのみ使うこと。そして、押し付けがましいと思われないように、ていねいに質問すること。
そうすれば、相手も嫌な気持ちにはならないはずだ。
(連載終了)
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