目標と手段、シンプルだけど理解しておきたい関係とは

 事業の勢いを取り戻すため、どのような目標を立てることが望ましいでしょうか。社員がどのような能力を発揮すると、企業は成功を生み出すことができるでしょうか。既存の顧客層を深堀するのか、新規の顧客層を開拓するのか。

 ゲイリー・ハメルは、著書『経営の未来』で、従来の経営管理が諦めていたトレードオフを疑い、優れた2点を両立させる形で人から能力を引き出すことを提言しました。戦略とは本来、何かの問題を解決するために生み出されますが、戦略バリエーションを豊富に知っているほど、私たちは掲げる目標の種類と内容に幅を持たせることができるのです。

 簡単に言えば、他社が掲げて成功した目標とそれを実現した戦略を知ることは、私たち自身がより効果的な目標を立てる道しるべになるのです。

 目標において重要なことは、荒唐無稽な目標を立てることに時間を費やすことはムダということです。荒唐無稽な目標とは、実現する手段が自分の手の中にない目標です。よく人は、達成する手段のない目標をああでもない、こうでもないと議論をしますが(いわゆる居酒屋談義)、手段がなければ当然永遠にその達成はできません。

 20世紀で最も著名な軍事研究家のひとり、リデル・ハートは目標と手段の関係について、「消化能力以上の貪食は愚かである」と述べています。達成する手段のない目標は掲げてはならず、現在手の中にある手段からまずは最良の目標を立て、それを誠実に達成することが重要だという意味です。

 一つの勝利は、新たな手段を私たちに与えてくれることがあり、小さな勝利によって次の手段を手に入れ、その手段によって目標のレベルを高めていくサイクルが重要なのです。

 上記のハートの考え方に従えば、手段を向上させるほど、目標のレベルを上げていくこともできることになります。人類3000年の戦略のエッセンスを俯瞰し学ぶことは、多くの課題を解決した手段を理解することでもあり、多数の戦略の本質を知ることは、私たちの目標設定能力をさらに高めてくれる、とも言えるのです。