その私が質問型営業を実践してから、毎年10件以上の契約が取れるようになったのです。そして、現在30社以上のメーカーと取引するまでに至りました。それもこれも質問型営業を取り入れたからです。
私は2年前に社長になりましたが、正直、今後どうすればいいのか不安でした。営業を開始しようにも、口下手で緊張しやすい性分。営業先の周りを車でぐるぐる回っている間に脂汗がでてきて胃が痛くなり、揚げ句の果てに、「今日はやっぱりやめておこう」と、訪問さえできずに帰る始末でした。
意を決して、面会できたとしても、アプローチは決まって「何か仕事ないですか」。今でこそわかりますが、そう言われてお客様も困ったと思います。そして、最後には「何かさせてください。一生懸命やりますので」とお願いに変わります。利益など考えず、価格もお客様に合わせて仕事を取ってきます。こんな営業をやっていたので、つくづく私は営業に向かないなと思ってました。
問題はアプローチがうまくいかないことでした。相手との会話が思うようにいかないのですから、成約に至るはずがありません。そこで質問型営業の研修で習ったことを、素直に実行してみました。
「現状はどうですか?」「こんなことがあれば助かるなんてないですか?」と質問し、共感することを心がけました。すると、お客様の反応が違うのです。
この体験で質問の効果を肌で感じた私は、次第に新規営業にも取り組むようになったのです。意外にお客様のほうがどんどん話してくれるようになりました。そして、いろいろな悩みを共有できるようになり、気がつけば契約に至るのです。
契約のあとで「笠野社長は営業がうまいね」と、よく言われるようになりました。本当にびっくりです。私は次第に営業に自信が持てるようになり、本格的に営業に乗り出したのです。
今は、専門家としてまず図面を見せてもらい、「この製品をどのような思いで作られているのですか?」と質問します。お客様はその製品についての思いをいろいろと話されます。