もう一つ指摘されている問題は、蓄積された内部留保の大きさだ。1施設当たり3億円を上回り、総額で2.5兆円の巨額に上ると財務省は調査結果から試算する。介護保険制度の運用で厚労省が補助金の減額を打ち出した途端に、全国の社福は人件費の抑制や緊縮予算に走った。その結果が多大の内部留保だ。

 財務省は「利益をため込むより、介護事業に活用すべきだ」とも言う。さらに「内部留保上位の施設では会計処理が不適切」(2012年7月)とまで断言する。

「貯め込んだ『利益』の使い方が分からない社福法人の無能力ぶりが分かった」と外野席から指弾されても仕方がない。財務省の財政制度審議会は「特養等の施設は高い収益を上げ、多額の内部留保を積み上げており、経営実態を把握・分析するために経営情報を公開することが必要不可欠」と提言している。

 介護報酬の論議からクローズアップされているが、収支差率が高く内部留保が多いのは、納税の義務を免除されていることも大きな理由だろう。この非課税問題も急浮上してきた。

社会福祉法人だけなぜ非課税なのか
同族経営で多大な収益を得る実態

「同じようなデイサービスを開設しているのに、なぜ社福は非課税なの」。事業者からのこうした疑問の声は介護保険が始まって以来消えることがない。企業には25.5%の法人税がかかるが社福にはない。

 ヘルパー派遣の訪問介護やショートステイ、あるいは認知症者向けのグループホームなど介護保険の在宅サービスでは、NPO法人や企業が社福と全く同じ介護保険法の基準の下で運営。だが、社福だけが法人税や固定資産税など納税の義務を免除されている。イコールフッティングではない。

 また、保育園や特養の建設、運営の際には地元市町村や都道府県、国から多額の補助金が渡される。こうした優遇措置の仕組みは社会福祉事業法の制定に起因する。

 戦後の混乱期の中で国や自治体は、身寄りのない高齢者や傷痍軍人、浮浪児などの処遇に困り、民間の篤志家に頼ろうとして制度化したのが社福である。いわば自治体の身代わり、代行者であった。税を投入してその活動を支えようとしたが、憲法89条に「公金その他の公の財産は、公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とある。戦前の靖国神社など宗教団体への政治介入を念頭に置いて政教分離を図ったものだ。

「公の支配」があれば公金投入ができるとして社会福祉事業法を成立させ、1951年から施行。いわば憲法をすり抜けさせて社福を誕生させた。出生時から「特異」な存在だったわけだ。自治体にとっては「親類」であるから、職員の格好の天下り先になるのは誕生時から必然だった。

 慈善・博愛の公益事業者なので税制優遇をするが、その代わりに他の法人ではできない困難な公益事業を手掛けることとした。たが、実際は全くと言っていいほど及び腰だ。