このうち経常黒字の拡大は、域内最強国・ドイツの貿易黒字増が主因だ。ドイツ企業が輸出で稼いだ外貨を自国通貨に替えるという、安定した実需フローが招く通貨高とあって、ECBがいかなる策を講じようと(かつての日本銀行がそうであったように)、ユーロはそう簡単には下がりそうにない。

ECBもゼロ金利へ
注目はフランスと
イタリアの賃金動向

 こうしたユーロ圏の日本化を論じる上で、みずほ証券の青山昌シニアマーケットアナリストの分析は興味深い。いわく、ユーロ圏と日本を株価のピークでそろえて比較することが多いが、それよりもボトムでそろえ、「回復過程を比較する方が妥当性は高い」。

 というのも、金融危機を経験した点で両者は共通するが、ユーロ圏の場合は市場価格のある国債暴落が原因であり、故に危機の表面化までにかかる時間が比較的短かった。片や日本の場合、相対取引である貸し出しが原因の不良債権問題とあって、表面化するまでに長い時間を要したからだ。

 この見解に沿って銀行株のボトムを見ると、日本は98年8月、ユーロ圏は09年1月だ。この2時点をそろえてさまざまな景気指標で比較すると、実質GDP成長率や失業率などの方向性に、驚くほど類似性が見いだせるのだ(図参照)。

 むろん、これをもってユーロ圏でもデフレが確定的な未来だと言うつもりはないが、気になるのは失業率が12%という過去最悪付近の水準にあること。かくも投資や消費が伸びにくい環境にあるのだ。為替や金利要因を除いたコアインフレ率で見ても物価は低下しており、ユーロ高だけでなく雇用や設備の過剰感が物価低迷を招いていることがうかがえる。