また、相続の手続きでは、「家族の絆が深まる機会」になることもあれば、分割でもめてしまい、「絶縁のきっかけ」になることもあります。

 だからこそ、相続で家族が争わないために、家族全員でオープンに話し合い、「自分の相続を用意しておく」ことが必要なのです。

 数多くの相続の実例を見てきた経験からいえることは、配慮のある生前対策をしておくことが大切なのです。そうしないと、残された家族は迷い、主張し、争うことになります。

相続プランをつくって相続対策をしよう

 相続が始まってからでも土地の評価や特例で節税できる方法は残されていますが、それは対策の一部でしかありません。やはり、生前にできることのほうがはるかに多いのです。

 また、特例が使えるから対策しなくてもなんとかなる、という場合でも安心はできません。なぜなら、特例を使うには、相続税の申告期限までに遺産分割が完了していないといけないからです。そのため、少なくとも、もめない対策は必須です。

 残された人が円満に、不安なく、争わずに乗り切れるよう「感情面」と「経済面」の両方に配慮しながら対策することで、相続の価値は高まります。さらに、家族の絆が再確認できる機会になります。

 相続は、「なんとかなるだろう」ではうまくいきません。生きているうちに「相続プラン」をつくり、意思を残すように家族で取り組んでください。