金融政策頼みの“官制相場”を
永久に続けることはできない

 これまで安倍政権は、思い切った金融政策に頼って円安・株高を演出してきた。日銀が多額の資金を市中に供給し、金利を極限まで引き下げることで、円が売られやすい土壌をつくり上げた。

 それに、米国経済の立ち直りによる米国金利の先高観が加わり、ヘッジファンドなど大手投資家のドル買い・円売りが重なり、円安トレンドが形成された。

 円が安くなると、海外展開が進んだ大手輸出企業を中心に業績が大幅改善し、基本的に株価は堅調な展開を示しやすくなる。さらに、約130兆円の公的年金資金の運用を行っているGPIFが、国内株の投資比率を上げる決定を行った。

 もともと日銀は、金融政策の運用として、ETFやREITを中心に国内株式や不動産投信を購入している。株式市場の関係者にとっては、「株が大きく下がりそうになると、日銀が下支えしてくれる」との安心感があった。

 そこに世界最大級の機関投資家であるGPIFが、援軍として入ってきたインパクトは大きい。短期の取引を得意とするヘッジファンドなどの投資家にとって、日銀やGPIFが下支えする“官制相場”には、「十分な収益チャンスあり」と映るはずだ。

 知り合いのファンドマネジャーの1人は、「日本株が落ちたところで拾っておけば、かなりの確率で稼げる」と言っていた。彼らも“官制相場”の意味を十分に理解しているようだ。

 ただし、日銀などが相場の方向性を規定する“官制相場”を永久に続けることは困難だ。わが国経済の回復が遅れ、企業業績が悪化すると見れば、中長期を念頭に置く投資家は日本株を敬遠する。その場合には、いくら日銀などが買い支えを行っても、株価を維持することは難しい。