本物の財務分析力が
将来予測を可能にする

 ここでは、解決策としての2枚のシートの要点だけを確認しましょう。第一の「コンサルティングシート」が示すことですが、財務データは結果で、その原因は経営にあるということです。当たり前の指摘かもしれませんが、現状は両者(経営と財務)のフィードバックが出来なくなっています。

 言い換えれば、両者の因果関係を構造的、有機的にとらえることが財務分析なのです。これがあれば、将来予測も可能になりますし、現在の改善ポイントが明らかになります。これが金融庁の要請する「事業性融資」の手法にもなるのです。

 もう一つは、経営と財務のそれぞれの領域は固有の対応関係を持っているはずです。それはどのような具体的な対応関係を持っているのでしょうか。第二の「財務・経営マトリックス」を見ればそれがよくわかります。例えば、バランスシートの流動資産の中の在庫は、経営領域ではマーケティング、営業の成果、社内では営業と製造のコンビネーション、工場における生産管理の巧拙、在庫管理のあり方などの結果です。この対応関係を知っているかどうかが問われます。

 結論です。この2枚の地図が脳内にできている人が、財務分析のプロなのです。