ベストセラー『財務3表一体理解法』の著者・國貞克則氏が、一流のビジネスパーソンになるための会計をストーリー形式で紹介するウェブ連載。この最終回では、会計の楽しさに目覚めた高橋が「図解分析」に挑戦することに。この方法なら、私たち会計の初心者でも会社の実態を瞬時につかめると言います。一体、どんな方法なのでしょうか?

図解分析という方法を活用する

 高橋は石田がホワイトボードに書いたBS(貸借対照表)とPL(損益計算書)の図と、ROE(自己資本利益率)が3つの項に分解された「デュポン・モデル」と言われる計算式を眺めていた。

「BSとPLを図式化した上で、デュポン・モデルという考え方を使えば、すべての企業に共通する『お金を集める』『投資する』『利益をあげる』という3つの基本活動が、BSとPLに表されていることが直感的にわかる。そして、BSとPLに表された企業の3つの基本活動に沿って、財務状態を分析すればいいことが理解できる」

 高橋はホワイトボードを見つめながら、声には出さずにそうつぶやいた。

 ホワイトボードを眺めている高橋の横から、石田が1枚の紙を高橋の前にそっと置いた。