ビジネスにも使える!
ハンニバルの戦略力11原則
最終的に滅ぼされたとはいえ、圧倒的な大軍勢に対して連戦連勝を繰り返したハンニバルの戦略を学ぶことについて、著者は次のようにその重要性を主張しています。
ハンニバルの戦略力は、11の原則にまとめることができる。/それを、「戦略力の11原則」と呼び、これからそれぞれを解説していきたい。/「弁慶の七つ道具」という言葉がある。鎌倉時代に伝説の武夫・武蔵坊弁慶は、主君・源義経の相次ぐピンチに対し、その「弁慶の七つ道具」を各々の困難な状況に即応させ、挑戦・創造して縦横無尽に相乗的に活用し、命尽きるとも主君を守り続けた。/「戦略論の11原則」は、「弁慶の七つ道具」、ビジネスの各状況の特質に実践的に即応するための「ビジネスマンの知的11武具」ともいえる。この知的11武具を保持していなければ、ライバルとの競争において成功はおぼつかない。(23ページ)
そして、くわしい解説が始まります。ここでは、整理された「原則」の主題だけを転載しておきましょう。
戦略力の11原則
●戦略力の2つの主原則
1.「目的の原則」
2.「創造の原則」
●戦略力の5つの軸原則
3.「主動の原則」
4.「集中の原則」
5.「奇襲の原則」
6.「機動の原則」
7.「柔軟の原則」
●戦略力の4つの補完原則
8.「統一の原則」
9.「簡明の原則」
10.「保全の原則」
11.「経済の原則」(29ページ)
ほぼ直感的に把握できる原則ですが、史実を読むと理解は深まります。なお、「経済の原則」とは、効率性、つまりeconomicalという意味です。
ハンニバルの評伝とポエニ戦争については、塩野七生著『ローマ人の物語(3) ― ハンニバル戦記』(上下、新潮文庫、2002)がよく知られていますね。
もうひとつ、コミックのカガノミハチ作『アド・アストラ――スキピオとハンニバル』(集英社、6巻まで発売中)をご紹介しておきましょう。月刊「ウルトラジャンプ」で2011年から連載しているこの作品、ハンニバルの戦いを地形まで入れて描きこんでおり、戦略をビジュアル化してくれます。本書『ハンニバルに学ぶ戦略思考』を合わせて読むと、理解が深まるでしょう。