コントユニット「ラーメンズ」や、演劇の舞台、テレビ出演、粘土作家など、さまざまなジャンルで活躍している片桐仁さん。片桐さんが絵やお笑いをがんばるようになったそもそもの動機は「評価されたい、褒められたい」だったそう。しかし、アドラー心理学では「人からの承認を求めてはいけない」とされていて――。一方、『嫌われる勇気』著者の岸見一郎氏は、どんな動機でアドラー研究を続けてきたのでしょうか。(構成:崎谷実穂、写真:田口沙織)
絵もお笑いも
評価されたくて始めた
片桐仁(以下、片桐) アドラー心理学的には、評価を求め、褒められようとしてはいけないんですよね?
岸見一郎(以下、岸見) はい。他者から承認を求めることを否定するのが、アドラー心理学の大前提です。
片桐 これが難しくて……(笑)。僕は美術大学を卒業してるんですけど、そもそも絵を本格的にがんばろうと思ったきっかけって、小学1年のときにニワトリの絵でコンクールの金賞をとったからなんです。その前に描いたロケットの絵が郵便局に貼り出されて、親が写真を撮ってくれたのもうれしかった。そういう出来事がなかったら、絵を一生懸命やろうと思わなかったでしょう。はじめから評価ありきだったんですよね。
古賀史健(以下、古賀) 描いていて楽しい、という動機はなかったんですか?
片桐 もちろん楽しかったんですけど、褒められたというのがやっぱり大きかったんですよね。
岸見 褒められたらうれしいというのは、誰にでもあることだと思います。でも、そこで褒められることを目的にしてしまうと本末転倒になってしまう。