3つの競争戦略

 ポーターは、競争戦略は差別化コストリーダーシップ集中(差別化集中とコスト集中がある)の3つがあると言っています(下図参照)。

ポーターの経営学を使える武器にする

 

 集中はコスト集中と差別化集中に分けられるので、実際には4つの戦略があると言えます。

 また、この3つのどれでもない状態を「スタック・イン・ザ・ミドル(どっちつかず)と呼んでいますが、戦略的経営を目指すなら、立ち位置を明確にしなくてはなりません。

差別化に関するよくある誤解が、単に、製品やサービスが他社と異質であることをもって、差別化と勘違いすることです。

 そうではなくて、その異質な部分が、顧客価値の向上に貢献すること(顧客の売上を増やす、あるいは、コストを減らす)、そしてプレミアムをもらえることが条件です。

コストリーダーシップは、他の数社と低コストを競いあうようであれば、決してやってはいけない戦略です。

 敵対心は凄まじくなり、レッドオーシャンの世界にまっしぐらとなります。他社をぶっちぎりで引き離し、決して追従されないときだけ、実行してください。

 東京の中心部に立派な本社を持っているような企業は、コストリーダーシップ戦略を取ると、しばしば失敗します。

 本社は中心部からはずれ簡素、支店数は限定、給料は安く、製品ラインは限定され標準化、100%海外生産といった感じで、あらゆるものが安さのかたまりになれば成功するかもしれません。

集中戦略は、差別化かコストリーダーシップの戦略を、顧客層を絞って実施する戦略です。集中するセグメントに適合する戦略を作り、他社の排除を狙います。