しかし、最近は考え方が大きく変わってきています。事務所の都合で立地を決めるのではなく、顧客の利便性に合わせて立地を選ぶようになってきました。

離婚や借金問題などの個人向けであれば、ターミナル駅から徒歩ゼロ分とか、地方のロードサイドに事務所を構えるところが増えています。企業や富裕層向けなら、一等地で、かつ高級感のあるビルへ入居するのが一般的です。相続の場合は、販促面でのアプローチのしやすさを考慮して、介護施設の多い地域を選ぶこともあります。

昔の法律事務所は、あえて表札を出さないところも多かったです。弁護士を訪ねるのは「何か悪いことをしたんじゃないか?」とか「借金で苦しんでいるんじゃないか?」など後ろ向きのイメージが先行していたからです。しかし現在では、ターゲットの目に留まりやすい来店型の立地を探して事務所を構えるところが増えています。

――最後の「販促力」についてお聞かせいただけますか。

個人向けの中でも借金、交通事故、離婚の3分野は、やはりウェブマーケティングが非常に重要です。昔ながらの紹介というかたちも残っていますが、他の人には話したくないという悩みが大半なので、ネットを見て問い合わせをするというのが主流ですね。とくに離婚の場合はスマホの反響率がとても高いです。パソコンだと家族に履歴を見られる心配もあるので、仕事中にこっそりスマホを見るということだと思います。

これまで法律事務所のウェブマーケティングは、集客に成功すれば、コンテンツの質はそれほど問われませんでした。離婚専門、交通事故専門と謳うだけで、一定数の問い合わせが見込めました。しかし、最近では特化サイトも増えていますから、事務所の強みをどう表現するかが重要になっています。

したがって、相談実績や解決実績を数多く掲載したり、お客様の声、推薦者の声を載せる、専門性の高さや業務範囲の広さをアピールする、事務所の理念やこだわりを表現するなどで、反響はかなり変わってきます。

一方、法人向けのマーケティングで重要なのは、都心部であれば、ウェブサイトなどで専門性の高さをアピールすることです。