トラブルに巻き込まれ、弁護士に仕事を依頼したいとき、どうしたらいいのか。誰にとっても、どんなトラブルでも対応できる、万能な“良い弁護士”などいない。あなたとの相性が合う弁護士を選ぶことが重要なのだ。
立派な肩書きでも
100%信用はできない
ある県の弁護士会会長まで務めた弁護士(80歳)が、成年後見制度を悪用し、成年後見人のおカネ約265万円を着服したことが発覚した。2012年秋、弁護士が所属する県の弁護士会は、業務停止2年の懲戒処分をし、業務上横領の容疑で刑事告発もしている。
別の県では、弁護士の不祥事を調査する綱紀委員など、弁護士会の要職に就任していた弁護士(66歳)の不正が発覚した。この弁護士は、成年後見人である女性の弟を監督する「成年後見監督人」にも選任されていた。綱紀委員や成年後見監督人は、いずれも不正をチェックする立場である。
にもかかわらず、弁護士は弟に「裁判所から指示があった」と嘘をつき、女性の口座から8回にわたって合計約4400万円を自分の銀行口座に振り込ませ、生活費や事務所経費に流用した。弟が裁判所に問い合わせて発覚し、2012年秋に詐欺の容疑で逮捕された。
残念ながら、弁護士の中にも依頼者に対して刑事上の犯罪になるようなことを行う人がいる。「立派な肩書きの弁護士だから大丈夫だろう」と100%信用することはできないのだ。
依頼者から預かっている財産を弁護士が着服する事例は、成年後見に限った話ではない。裁判所への訴訟費用等、実費に使うための「預り金」を弁護士に預けることは多い。その預り金を着服される事件もある。
いつ頃、何に使うかも明確に説明せず、多額の預り金を要求されたら警戒した方がよい。