1店舗あたりの売り上げが
他社より2割多い理由
経営においては「徹底」がとても大切です。皆さんもよくご存じのコンビニ業界を例に出し説明しましょう。
小さな行動を「徹底」し、「継続」したことで、競合他社との業績を大きく引き離しているのが、セブン-イレブンです。セブン-イレブンは、現在、日本国内に約1万8000店舗ありますが、1店舗あたりの毎日の売り上げが、他のライバル店に比べて2割も多いのです。毎日2割違うのです。セブン-イレブンが約60万円台なのに対し、他のコンビニチェーンは50万円台前半のところがほとんどです。
でも、考えてみればけっこう不思議です。どのコンビニに行っても、本や雑誌が並び、日用雑貨が用意され、お菓子や食品、飲料が並ぶコーナーがあります。「どこで買っても似たようなもの」になってもおかしくないですよね。コンビニエンスストアでは、成功のためのキーワードが4つあると言われています。「品揃え」「鮮度」「クリーンリネス(店の美しさ)」「フレンドリーサービス」で、この4つがキーワードであることはどのコンビニも十分に承知しています。そして、それを実行している。
でも、売上高には歴然と差があるのです。
セブン-イレブンのおにぎりって他のコンビニよりもおいしいと思いませんか? 以前、同社の役員さんから聞いた話ですが、おにぎりのお米は主に魚沼産のコシヒカリを使っていますが、バイヤーが田んぼの日当たりまで確認し、業者がお米を炊くときも米の芯の温度までチェックしているそうです。
サンドイッチもそうです。私は、セブン-イレブンの「シャキシャキレタスサンド」というハムとレタスのサンドイッチが好きなのですが、その名の通り、レタスのシャキシャキ感が、他のコンビニのサンドイッチとは全然違うと思います。すごくおいしい。
おにぎりにしてもサンドイッチにしても、他のコンビニにも同じようなモノは売っている。でも、ちょっとしたことが全然違うから、お客さまは「セブン-イレブンのおにぎりやサンドイッチだから食べたい」と思い、他店より少し遠くても、セブン-イレブンまで足を延ばしてでも買いたいと思う人が出てくるのです。
これは、商品に限ったことではありません。お店の前に置いてある灰皿も、店長がマメにチェックしているせいか、セブン-イレブンは他のコンビニよりもきれいになっていることが多いように思います。