なぜ「秋の日はつるべ落とし」なのか?

 最近は死語かもしれません。つるべ(釣瓶)がわからないので。縄や竿の先につけて井戸の水を汲み上げる桶(おけ)のことです。手を離すと、ストーンと井戸の中に落ちていってしまいます。

 だから意味は「秋の日は短くすぐ日が暮れてしまう」……ではありません。それなら12月の冬至の日が一番「つるべ落とし」のハズ。ここでも問題は「なぜそう感じるか」ということでしょう。

 では改めて、秋の日没はなぜ早いと「感じる」のでしょうか?

 きっとそれは、秋が「日没時刻がもっとも急速に早くなる時期」だからでしょう。

本来は「男心と秋の空」だった!?<br />~秋のことわざを探究する[出所]気象庁データより三谷作成

 夏至から冬至にかけて、日没時刻はどんどん早くなっていきます。その変化率は1日で1分20秒程度。秋の日没は1週間で9分以上早くなっているのです。春、それが5分ほどなのに比べると倍近くの違いです。

 秋の日はつるべ落とし。秋の日没はどんどん早くなります。ほんの数日で、明るかった帰宅時間が薄暮(*5)になり、さらに夜となっていきます。

 ヒトは今の絶対値ではなく、ちょっと過去との「差」に反応する生き物なのです。

*5 陽が沈んでから暗くなるまでの時間を黄昏時(たそがれどき)、その間の明るさのことを薄明もしくは薄暮と呼ぶ。明け方のそれは払暁(ふつぎょう)。戸外活動に支障のない常用薄暮は25~30分間続くが、これも春・秋が一番短い。