小バカにしているのに
炎上しないのはなぜ?
和田 最近ウェブサイトで、猫の爪きり用の補助マスクを見かけたのですよ。顔全体を覆う立体設計になっていて、鼻と口だけ丸見えなの。装着させた姿が滑稽で笑っちゃったのだけど、そういうのにも敏感に反応して「動物虐待だ!」などと憤る人っていますよね。
林 そうそう。なんですべてにおいてシリアスに受け止めるのでしょうかね。笑い飛ばせばいいのに。
和田 同じネタを取り上げていても、炎上する表現としない表現ってあります。アクセス数を増やそうとして、わざと炎上させる人もいますけど……。
林 ああ、はいはい。ひどいですね、下品ですよ。
和田 炎上マーケティングという言葉があるようですけど、林さんはそれをしないでアクセス数を増やされています。人を傷つけないお笑いというか、さじ加減が絶妙なのですよね。
林 『デイリーポータルZ』は運営側もライターさんも、顔も名前も出してやっていますので、炎上したらやはりイヤなものです。炎上マーケティングを狙っている人は、たぶん自分の名前を前面に出してないのじゃないかなあ。
和田 普通は悪口言われたらイヤですものね。
林 炎上しない方法としては、たとえば「ビジネス書の表現はダサい!」とか、「あんなの意味がない!」ってストレートに反対するんじゃなくて、『ペリーがパワポで提案書を持ってきたら』みたいな表現であえて話をずらした方が、感じが悪くないですよね。アンチじゃなくて、話の腰を折る感じかな。
和田 あぁ? じゃあ本当はビジネス書に書いてあるような企画書はダサいよね、って言ってる(笑)?
林 僕はダサいなあと……思ってるかも。
和田 テンプレートもあえて一番ダサいやつを使ったのですよね?
林 そうです。わざとデフォルトのダサい色を使って。いまどき、誰も使わないデフォルトを探してきて、「ダサい、こんなのやるやつはこれから生きていけない」みたいなストレートなこと言っても、誰にも読んでもらえないよね。
和田 でも未だにこういうの使ってる人がたくさんいますよ(笑)。
林 いますね。僕、結構そういうのもらうとうれしくなります。「とっとこ~♪」って。
和田 あははははは(笑)。