介護業界における従業員平均賃金は、約22万円と産業全体と比較しても10万円以上も低く、加えて仕事がハードで腰などの体を痛めることや、シフト制で仕事が不規則などマイナスとなる職場環境が揃っています。ゆえに募集をかけても応募が集まりません。

 東京都社会福祉協議会が介護施設にアンケート(「特別養護老人ホームにおける介護職員充足状況に関する緊急調査」)を行ったところ、47.2%の施設が「職員不足」と回答。6ヵ月以上不足の状態が続いている所は82施設にのぼり、対策として「入所の抑制」や「閉鎖」といった措置が取られていると言います。西日本では介護人材が比較的充足しているようですが、東日本では大幅な人手不足に悩まされているようです。厚生労働省の推計で、2025年には介護業界は40万人の人材不足に陥ると言われていますが、その前兆はすでに起きているのです。

 筆者が関わる介護会社でも人材の採用難に加えて、異業種への人材の流出が著しいという話をよく耳にします。サービス業や販売業など接客のある業種や高齢者向けサービスをしている介護以外の業界(介護用品メーカーなど)への転職で年収アップ、新たな仕事のやりがいをみつけている人が増えているのです。

 介護離職者の増加を防ぐために介護施設を増設し、待機者の減少を促すのは望まれることです。しかし、よりよい運営のできる充実した施設にするためには、ハコモノを準備するだけでなく、まず介護業界で働く人材の確保、働きやすい職場づくりを真剣に考えていくことが重要ではないでしょうか。その議論をおいて、介護離職者の問題は決して解決しないのです。