多くのリーダーが「こうあるべき」という
理想にとらわれ、疲れきっている
私は経営者や管理職の方を対象に講演することも多いのですが、ふだん彼らに接していて強く思うのは、とにかく疲れている人が多い、ということです。
よく講演の後、名刺交換などの際に立ち話をするのですが、
「もっと早くこの講演を聴きたかった」
「すでに燃え尽きています……」
など、初対面の私に、率直に打ち明けてくださる方が多いことに驚きます。
私は、講演目的で来ているので、そうした方々に十分なアドバイスをする時間もないのですが、そんなやりとりからは、こういうことを身近に相談できる相手がいないのだろうな、とお気の毒な気持ちになります。
あるとき、小さな規模の講演会の際に、突っ込んで話を聴いてみたことがあります。
「何が大変なのですか?」と聴いてみますと、もちろん仕事が忙しいということもあるのですが、「よきリーダーとは」という理想にとらわれて、様々な「べき」で自らを縛ってしまっているということでした。
具体的には、
・リーダーとは毅然としているべき
・リーダーとは寛大であるべき
・リーダーとは常に前進する存在であるべき
・リーダーとは皆が嫌がる仕事を率先してやるべき
・リーダーは人格者であるべき
・リーダーは誰よりも長時間働くべき
・リーダーは業務だけでなく人材育成もきちんとするべき、等々。
これらの全ての「べき」を完璧にこなそうとしたら、燃え尽きるのも当然でしょう。
また、これらは全てが自分に関する「べき」であると同時に、部下に見せる「べき」でもあります。自分は部下からこのように見られなければならないということです。つまり、これも対人関係の問題と位置づけることができるのです。