「海外駐在も構いません!」
就職難ゆえについたウソが仇に

 それにしても海外製造拠点がある会社に入社しておいて、海外駐在が嫌なんて、どういうことなのでしょうか。それは、Dさんが就職活動していた時期の求人環境が背景にあるのかもしれません。

 Dさんは、入社前の面接で「海外駐在」に対する意向を人事部に尋ねられています。そのときは、

「御社に入社すれば海外駐在は当たり前、問題ありません。むしろ海外で可能性を広げたい気持ちがあります」

 と海外駐在への前向きさをアピール。当時から海外が苦手であったにもかかわらず、嘘をついていたのです。その後のことを考えれば、自分の首を絞めるような嘘をついたわけですが、一体どうしてそんなことをしたのでしょうか。それはDさんが入社したのはリーマンショック直後だったからです。

 当時、求人倍率は0.5倍を切っていました。本来であれば、国内であまり人事異動のない仕事を探したかったのですが、そんな贅沢は言っていられない状況でした。就職情報サイト上でエントリーした会社数は200社以上。それでも内定が出たのは1社だけ。そのような状況で海外駐在は嫌…なんて言えなかったのです。

 さらに、海外駐在が嫌になる要因がありました。それは、「駐在は何年まで」という期限が設けられていないからです。ちなみに、海外駐在に対し、期限を設定している企業は少ないようです。これは、海外の支社で活躍するまで時間がかかることがあります。そこで、何年という決まりを付けず、会社側がいいと判断するまでは帰れない状態が続くのです。ただ、区切りとして3~5年を目安にしているところが多いようです。

 海外駐在の期間が「何年」と決められていない場合は、10年以上海外での仕事を続けることになる会社もあり、このような片道切符の海外赴任問題については以前の連載記事で書かせていただきましたので、詳しくはそちらをご覧いただければと思います。