(※以下、『一流の育て方』から抜粋)
「好きな本」で読書を習慣化させる
──押しつけるから読まなくなる
【家庭教育アンケート】
幼年期に本の読み聞かせをしてもらったおかげで、今の自分が本好きになれたので、母に感謝しています。妹も「ハリー・ポッター」の読み聞かせで本好きになりました。本の読み聞かせは、子どものその後の読書量に、大きな影響を与えると思います。(早稲田大学社会科学部Kさん)
読書を重視する家庭だった。父は出版社に勤めていたので、幼いころから本と親しむ環境にあった。そのことは私にとって知識の吸収に一役買い、幼いころから積極的にさまざまな知識を吸収でき、成長してからは思考の基礎体力となった。
幼いころから活字に慣れ親しむかどうか、知識を吸収することに慣れ親しむかどうかは、成長してからもその子の学習能力に決定的な影響を与えるのではないかと思う。そこで、幼いころは絵本の読み聞かせや、学習漫画を買い与えるなど、その子の興味の範囲で読書の習慣を身につけさせることが重要だと思う。(早稲田大学政治経済学部Sさん)
私が両親に感謝しているのは、私の望む本は何でも買ってくれたことです。当時の年齢では難しすぎて明らかに読めそうにない本、あるいは逆に、くだらない幼稚な本であっても、両親は値段も気にせずに買ってくれました。今思えば、私の好奇心を抑制しないよう配慮してくれたのでしょう。そのおかげで、現在の私は、字を読むことにまったく抵抗感がないどころか、常に字を読んでいないと気がすまないほどになりました。このことは、社会のことを知るために非常に役立っています。(東京大学法学部Tさん)
ミセス・パンプキンからの講評:
「読ませたい本」ではなく、子どもが「読みたい本」を読ませる
──「自分から」でなければ読むようにならない
子どもに読書の習慣を身につけさせるのに一番効果的なのは、子どもが関心を持つ分野の本に触れさせることだと思います。
たとえば、子どもが関心を示す車のおもちゃやアニメのキャラクターの本、ないし世界の昆虫大事典でもかまいません。
とにかく子どもが興味の延長線上で自然と活字に親しめるきっかけを作ってあげることが学習習慣に決定的な影響を与えます。反省を込めて申しますが、間違っても親が読ませたい本を押しつけてはいけません。
わが家では、長女が1歳のときから『クマのプーさん』が大好きでした。ちょうど絵本のサイズが普通より小さく、どこに行くときも大事に抱えて行っては、繰り返し飽かずにそれを眺めていました。シリーズの中でも第1巻がお気に入りだったものです(ちなみに、娘はある日それを東京駅の新幹線の線路に落としてしまったので新しいものを買い与えましたが、今までに馴染んだ本そのものへの愛着まで取り戻すことはできなかったようです)。
それからは成長と関心に合わせて、世界文学全集などを次々に買い与え、彼女は私の財布の事情をかまわない速いスピードで、本をどんどん読んでいきました。おかげで2番目の子以降は、新たに本を購入しなくとも、家に在庫がたっぷりあります。ところがこれが落とし穴になったように思います。
自分の関心に合わせて本を次々に選んで買ってもらう子と、本棚にたくさんあるのだから、勝手に選んで読みなさいといわんばかりに放っておかれた子の差が出たのでしょうか。その読書量には雲泥の差ができてしまいました。