決して簡単でないミャンマー進出
そのリスクの海を渡るには

 今回のシリーズでは、決して簡単ではないミャンマー進出におけるリスクの海での対応方法について、見ていきたいと思う。今回の選挙は、一つの方向性としては将来への期待を感じさせる結果となったが、それによってミャンマー進出におけるリスクが急速に大きく軽減される可能性は残念ながら少ないと思われる。むしろ、期待感が高まるがゆえに、そのリスクの影がより見えにくくなるかもしれない。

 ミャンマー進出においての絶対的な成功の方程式は、残念ながら存在しない。ただ、そのリスクを少しでも減らしていく方法は存在する。これから、それをいくつかご紹介していくが、一つだけ重要なことを挙げるとすれば、現地の文化や習慣を尊重し、相手のためになることを徹底しながら、目の前の問題点に向き合い一つひとつ対応していくことだろう。現実を変えていくには、目の前のゴミを一つずつ片づけていくことから始まるのだ。

杉田浩一(すぎた・こういち)
株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役 カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。
 ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説
ミャンマービジネス最前線』を連載。