僕のブックレビューがほかの書評と「違う」点
その後、あれよあれよといううちに掲載媒体が増えていき、いまでは「ニューズウィーク日本版」、ワニブックスが運営する「WANI BOOKOUT」、数字に関する情報を集めた「Suzie」などにもブックレビューを寄稿しています。
年間700冊を超えるペースで書評を書いており、来る日も来る日も「読んで、書いて、読んで、書いて」の繰り返しです。
僕の書評がこうして多少なりとも評価していただけたのは、新聞や雑誌に掲載される書評とは「少し違うスタイル」を取り入れたからではないかと思っています。
それは、意識的に「引用」を多く織り込むこと。
新聞や雑誌の書評とは別のアプローチをとっているのには、もちろん明確な理由があります。重要なポイントは、僕が書いている書評の多くが、ウェブ上のニュースメディアへの掲載を目的としたものであるということです。
つまり、読む人も、読まれる環境も、読むために費やされる時間も、紙媒体とはまったく違うのです。
紙媒体に掲載される書評の場合、そこには評者の主観や主張が入り込むことが前提になります。評者がその書籍から感じたことを伝え、読者が「この本、読んでみたいな」と感じる。それが、紙媒体における書評の基本的な価値です。
一方、ウェブメディアの場合、その「あり方」自体が違っている。極論をいえば、ウェブ上のニュースメディアに掲載されるブックレビューに読者が求めるものは、評者の主観ではなく「情報・ニュース」です。
つまり、「その記事(書評)を読んで、どれだけ得をしたか」ということがもっとも重要な価値基準なのです。
また、ウェブ記事の多くは、通勤時にスマホで読むとか、オフィスで仕事をはじめる前にパソコンで読むとか、短時間で消費されるもの。
そこで「お得感」を感じてもらうためには、その書籍の内容をひと言で表現するような「引用」がもっとも効果的だろうと考えたのです。