速くて・深い読書は「引用」からはじまる
ここでいう引用とは、本の「おいしいところ」だけを引き抜いたもの。引用からは、2つの価値が生まれます。
すでに述べたとおり、1つは「情報」としての価値。
僕の書評を読む人は、「これは本の著者の主張なの? それとも評者の意見なの?」と気にする必要がありません。
その本のエッセンスを手短につかむことができるので、日々の会話でちょっと触れたり、本屋さんに行ったときの本選びの参考にしたりできます。
引用を中心とした書評というのは、ウェブの時代には最適なアプローチではないかと思います。
そしてもう1つは、僕、つまり「本を読む人」にとっての価値です。
引用をすることによって、その本のどこに心動かされたのか、どんな文章が気になったのかが可視化されます。
「じっくり読む」よりも、文を書き写したほうがその部分をしっかりと味わうことができますし、忘れづらくもなるでしょう。もっといえば、書き写しているのだから忘れてしまっても大丈夫なのです。
(第12回に続く 3/9公開予定)