なぜ「事前テスト」で回答率が向上したのか?
なぜそのようなことが起こるのか。『脳が認める勉強法』の著者、ベネディクト・キャリー氏曰く、その理由として、以下の2つが考えられるらしい。
まず、「事前テストで知らない問題を出題された場合、答えを推測したおかげで、勉強して覚えるときよりも覚えたいという意識が強く働き、正しい答えがより深く脳に刻まれた」こと。つまり、間違えることで、脳が逆に「覚えよう」と積極的に働くのだという。
もうひとつが、まったく知らない問題に答えることで、「自分は知っている」という誤った幻想を抱かなくなること。例えば、教科書にマーカーで線を引いたり、参考書を見直すといった受け身の勉強は、「勉強したばかりだから知っている」という錯覚に陥りやすくなる。しかし、事前テストは、知らないことを推測するのだから、「自分は知っている」という錯覚は抱きにくいのだとか。
加えて、覚えたことを他人に教えたり、理路整然と書き出すことを行えば、記憶はより強固なものになるらしい。
あなたがもし、子どもの学力低下に悩む親で、この方法を活用しようと思うなら、まずは復習より予習として事前テストを行うことをお勧めしたい。さらに、そこで覚えたものを子ども本人に説明させる、もしくは書き出させるという自宅での学習方法に切り替えてみよう。
答えられない子どもは、その後の授業中に事前テストで間違えた(答えられなかった)部分をより「覚えよう」と意識するだろうし、すぐに説明や書き出すというアウトプットをすることで、記憶はより強く定着するだろう。
ダラダラ時間だけをかけてしまう勉強法より、脳の働きを理解し、より効果的かつ効率的な勉強法を行えば、「何をやっても成績が上がらない」「集中力がなくて……」という長年のお悩みにも終止符を打てるかも!?