『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』等のベストセラー作を持つ東京大学の池谷裕二教授も「本書は勉学に関する脳科学本の決定版だ」と絶賛する書籍『脳が認める勉強法』。脳に関する最新情報が詰め込まれている本作のテクニックを使えば、子どもの学力を飛躍的に伸ばすことも!? 今回は、本書の中でも特に注目したい「事前テスト」について紹介しよう。
正解率が10~20%アップする「事前テスト」とは
私たちが子どもの頃、テスト勉強といえば、これまで教わってきた試験範囲を一生懸命に覚え、ときには暗唱し、ときには手が真っ黒になるまでひたすら書き続けたりしていなかっただろうか。その結果、高得点を得ることもあれば、あれだけ憶えた(はずの?)解答がまったく出てこなくて、散々な結果になることも……。
果たして、従来からの勉強法、つまり「ひたすら習ったことを覚える」という方法は正しいのだろうか?
親になった私たちが、自分の経験をいったん棚に上げ、子どもに同様の方法で「試験勉強をしなさい」と言ってもいいものだろうか?
記憶や勉強法などの最新情報を紹介した書籍、『脳が認める勉強法』(ダイヤモンド社刊)によると、最も効果的な試験勉強は、「事前テスト」というものだという。
あまり聞きなれないこの「事前テスト」とは、覚えたことをテストするのではなく、まったく知らないことをテストするというもの。たとえば、新学期の初日に、その学期で習うことをテストする。答えられなくて当たり前だろう。ところが、事前テストをすることで、「ひたすら覚える」勉強よりも本番のテストで正解する確率がアップするという。
『脳が認める勉強法』で紹介されている実験は以下の通りだ。
(1)アフリカの国を12選び(回答者があまり知らないこと)、友人に5択形式でそれらの国の首都を答える問題を作ってもらう。1問につき、考える時間は10秒で、1問解くたびに友人に正解を教えてもらう。
(2)次にさらにまたよく知らない国を12選び、今度は首都と正解をあわせて書き出した表を作って覚えるという従来の勉強法を行う(ナイジェリア―アブジャ、エリトリア―アスマラ、ガンビア―バンジュールなどというふうに)。覚えるのにかける時間は(1)と同様にする。
(3)翌日、24ヵ国すべての首都を5択問題でテストをし、それが終わったら最初の半分と残りの半分で結果を比較する。
この結果、なんとほとんどの人が最初に覚えた国の問題で、10~20%高い点数を取ったのだという。