一方、和田氏に挑んだのは「無所属」の池田真紀氏(43)。シングルマザーとして2人の子どもを育てている。高校中退、福祉職場勤務。2014年12月の衆院選では北海道2区(札幌市北区・東区)で出馬し落選しており、選挙区を鞍替えしての挑戦となる。実質的には、民進党と共産党の野党連携による統一候補者ということになり、この対照的な2人による一騎打ちの模様が目を引いた。

安保法制とTPPへの関心に見る
「参院選の前哨戦」としての補選

 さらに、この選挙が参院選の前哨戦として注目される理由は、争点とされている安保法制やTPPに対して有権者の関心が強い選挙区であるということだ。北海道5区の一部、千歳市の人口のうち4人に1人は自衛隊関係者(家族や退職者含む)とも言われる。また、北海道という土地柄ゆえに、農業に対する関心は高く、自由貿易に対しては不安や反対の声も根強い。自民党からしてみれば、安保法制とTPPについて有権者の信を得るためにも、重要な一戦だったと言える。

 結果的に、有権者の審判は以下のようにくだった。

 2016年4月24日の衆議院議員補欠選挙(北海道5区)

・当 和田義明(自) 135,842
・落 池田真紀(無) 123,517

 確かに、一見池田氏は和田氏を接戦に追い込んでいるように見えた。だが、2014年12月の衆院選とほとんど投票率が変わらないなかで、和田氏の得票数は前回選挙の町村元議員のそれを上回っている。つまり、今回の選挙で票を積み増したのは自民党であって、民進党への支持の広がりはなかったことが露呈してしまった。そもそも国政で「無所属」というのも、支持が伸び悩んだ一因かもしれない。当選後のビジョンが伝わらなかったとも言える。

 一方で、池田氏の得票数は前回の民主党と共産党の得票数のそれを足し算した数字とほぼ同じであり、野党共闘が一定の有効性を持つことも明らかになった。これでは自民党も、衆院を解散するには勇気がいる。

 衆議院を解散する戦略的意義は、参院選での票の積み上げである。そう考えるならば、下手に衆院を解散せず、このまま手堅く参議院議員選挙に集中した方がよいはずであり、所属議員たちの反対論を押さえるのは難しい。不用意に解散すれば、むしろせっかく3分の2の議席を与党が押さえている衆院で議席を減らす危険性さえあり、本末転倒である。

「一応勝ってほっとした。でも野党共闘はある程度怖い」

 これが、自民党が衆議院を解散できない理由の1つ目である。