米国と日本のコンビニ市場を徹底比較!
ガソリン販売の有無と寡占化で大違い

 コンビニの業界構造が国や地域によっていかに異なっているか。今度は、米国と日本のコンビニ市場を比較してみよう。

 米国のコンビニ市場は15万店規模、その年間売上高は47兆円規模に上る(1ドル145円換算)。ただし、米国のフルサイズのコンビニのほとんどは、ガソリンスタンドを併設している。そのため、ガソリンなどの燃料の売り上げも含めると、124兆円規模にまでなる。日本の報道では、「ガソリンスタンドにコンビニが併設されている」とよく誤解されるが、正しくは、「コンビニが品ぞろえの一つとしてガソリンを販売している」である。

 次に、米コンビニの専門誌『Convenience Store Product』が毎年発表している、「コンビニ店舗数ランキング」を見てみよう。「Top 202 Convenience Stores 2024」から上位10社だけを抜き出して表にした(以下、データは引用)。

 こうして俯瞰すると、米コンビニ市場はセブンとクシュタールの二強であり、3位以下を引き離していることがよく分かるだろう。上位3社でシェアはわずか16%に過ぎない。

※参照『Convenience Store Product』の「Top 202 Convenience Stores 2024」

 一方、日本のコンビニ市場はセブン、ファミリーマート、ローソンの上位3社で90%のシェアを占める。全体の規模感は、店舗数が約5万8000店、年間売上高が11兆円強である。

 これほどまでに違う米国と日本のコンビニ事情であるが、他方で、わが国でも北海道のコンビニ事情が、米国と少し似ている。道内ではセイコーマートが最多であり、地域に根付いたコミュニティストアであることが分かる(下の表)。米国では州ごと地域ごとにセイコーマートのようなチェーンが存在するということだ。

 広大な国土に3億3千万人が住む米国と、日本をそのまま比べるのは、当然ながら適切ではない。同様にクシュタールのセブンへのオファーを、日本の感覚で議論すると本質を見失う。米国内では、マクドナルドとスターバックスの合併をイメージさせる報道も出ている。とにかく、市場を正確にみることが大切だ。