「食」で差別化するコンビニが登場
EV対応の次世代型は欧州で普及中

 米コンビニ業界でM&Aが活発な要因の二つ目は、クイックサーブレストラン(QSR)の進展である。従来は調理スペースが限られ、ホットドック程度しか提供できなかったコンビニに、本格的な調理施設を備えたQSRが併設されるようになった。QSRを成長エンジンにしているのがQuikTrip(米コンビニランキング※で9位)やWawa(同10位)などである。彼らは、差別化のために、広い店舗や最新設備に対する投資をいとわない。これが奏功して、他社から着実にユーザーを奪いつつある。※「Top 202 Convenience Stores 2024」詳しくは前編を参照

 そして三つめが、EVの台頭だ。米国では、緩やかだが着実にEVが増えている。諸外国に比べれば、全米ベースでは遅れているが、カリフォルニア州をはじめ厳しい環境規制を持つ州(CARB州という)では進んでおりこの影響は無視できない。

 EVシフトはガソリン需要を減少させ、ガソリンでビジネスをしている者たちに危機感は募らせる。そうした状況下、クシュタールのEV対応は、グローバルなコンビニ業界で最も先進的であると評価していいだろう。ノルウェーを中心に欧州ではサークルKにEV充電ステーションを併設していて、これは次世代型コンビニのあるべき姿と、称賛されている。

セブン&アイとカナダ企業の「合併」は意外と都合が良い?米コンビニM&Aが活発な3大要因ノルウェーの新しいサークルKとEV充電ステーション(筆者提供写真)
セブン&アイとカナダ企業の「合併」は意外と都合が良い?米コンビニM&Aが活発な3大要因ノルウェーのサークルK。コンビニとガソリンスタンドとEV充電ステーションが新フォーマットに(筆者提供写真)
セブン&アイとカナダ企業の「合併」は意外と都合が良い?米コンビニM&Aが活発な3大要因オスロ市内のサークルK。ショッピングセンター内にコンビニと充電ステーションが入っている(筆者提供写真)