アジア地域は2社で合併して
セブンに任せる方が効率が良い

 そして前編で詳細に示した世界の店舗分布を見て分かるように、クシュタールの空白地帯であるアジア地域は、セブンの牙城だ。ここで競争を繰り広げるよりも、2社で合併してアジア地域はセブンに任せる方が効率が良い。

 なお、EV化対応ではクシュタールが圧倒的に進んでいることは前述の通り。逆に、セブンのEV化対応は遅れている。それゆえクシュタールが、「セブンにとってもこのディールは非常に価値があるはずだ」と(上から目線で)思っていても不思議ではない。

 このように、クシュタールにとってはセブンを買収することこそ、自らを脅かす要因を一挙に解決する方法として、実に都合が良い。ただ、米連邦取引委員会の反トラスト法違反の懸念が、この合併の障害になるはずだ。実際、米国内ではサークルKとセブンイレブンが強い地域が結構重なっている。合併によって、この地域で大幅な店舗売却を余儀なくされると、逆に競争相手を利するリスクがある。

 クシュタールによるセブンへの買収・合併提案は、本当に解決策となるのか。そして、セブン陣営はその考えに合意するのか――。コンビニ市場で新たな競争の号砲が鳴った。しばらく、目が離せない。