安川電機といえば、FA(ファクトリーオートメーション)を担う世界四大ロボットメーカーの一角を占める企業だが、同社ならではの強みとは何なのか。昨年は米中貿易摩擦などで業績に打撃を受けたものの、2020年はストップしていた顧客の設備投資が増えそうでもある。反転攻勢をかける小笠原浩・安川電機社長に成長の秘策を聞いた。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

四大ロボットメーカーの安川
他の3社にない強みとは?

小笠原浩安川電機社長Photo by Chiyomi Tadokoro

──省力化ニーズで市場の注目度が高いFA(ファクトリーオートメーション)業界。とりわけ安川電機は、世界の四大産業用ロボットメーカーの一角を占める会社ですが、他の3社(スイスのABB、中国のKUKA、そして日本のファナック)と比べて強みはどこにあるのでしょうか。

 まず、そもそもロボットというのはサーボモータ(指令を出された位置で瞬時に動きを止めることができるモータ)で動いているのですが、安川電機はロボットに加えてサーボと、さらにインバータ(モータの回転数を制御する装置)まで手掛けています。

 中でも一番の強みは、サーボの外販までしていることです。これは四大ロボットメーカーに川崎重工業を加えて五大ロボットメーカーが競合だと考えても、安川しかやっていないこと。もともとモータの会社であり、サーボをビジネスの原点とする安川ならではの体制です。

──サーボを外販することの具体的なメリットとは?

 サーボはロボットだけの主要部品じゃないからね。工場を構成する工作機械などにも使われている。例えば、半導体の製造装置とか。だから、安川のサーボが使われてさえいれば、ロボットと一緒にロボットの周りにある工作機械もまとめて一台のコントローラで制御できるようになるわけです。