東証再編#25Photo:Stefano Madrigali/gettyimages

東証1部からプライム市場に移行するための条件として、「流通株式時価総額100億円以上」という基準が設定された。業種ごとの流通株式時価総額ランキングを作成すると、コロナ禍で需給に変化が生じた不動産業では、13社がプライム落ちの危機に直面していた。特集『東証再編 664社に迫る大淘汰』(全25回)の最終回では、その顔触れを紹介する。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

CMで一世風靡した企業もプライム落ち候補
不動産業で流通株式時価総額が低い13社

 タッキーにミランダ・カー。国内外の大物スターをCMに登用し、一世を風靡していた不動産会社がある。

 THEグローバル社(東京都新宿区)。1998年に創業された、分譲マンションや一戸建て住宅、投資用不動産の販売を手掛ける不動産会社だ。これら以外にも、海外展開やホテル運営子会社の設立など新たな領域に手を出し、事業拡大を続けてきた。

 2016年に東証1部に市場替えしたTHEグローバル社だが、コロナ禍でホテル事業が受けた影響もあり、金融機関から融資を得られる見通しがないとして20年5月に経営危機を知らせる「継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ」を発表していた。

 その後、同年10月に不動産デベロッパーのアスコットを割当先とした第三者割当増資を発表して、足元の資金繰り難は解消した。ただ、20年6月期と21年6月期の2期連続最終赤字と苦戦が続くのが現状だ。

 そんなTHEグローバル社だが、東証の市場再編でも一つの難局を迎えている。東証は、1部上場企業がプライム市場に移行するための基準として「流通株式時価総額100億円以上」を設けた。ダイヤモンド編集部の試算によると、THEグローバル社の流通株式時価総額は32.2億円となり、このままではプライムに移行できないのだ。

 この会社だけではない。東証の定義にのっとってダイヤモンド編集部が東証1部上場企業の流通株式時価総額を算出し、ワースト300社を抽出したところ、THEグローバル社と似たような不動産業の企業が13社ランクインした。これら全ての企業に今、プライム落ちの危機が迫っている。

 なお、前出のTHEグローバル社の順位はワースト4位だった。他にはどのような企業がランクインしたのか。早速次ページから、THEグローバル社を含めた13社の実名を紹介しよう。