「薬不足はあと3年続く」薬局経営者が語る“ジェネリック大号令”の失策ぶりPhoto:PIXTA

この数年で急速に定着したジェネリック医薬品だが、全国的にかつてない規模で供給不足が続く。一部は高価な先発品に変更せざるを得ず、ジェネリックに慣れた患者の懐に響く。管理薬剤師として薬局を経営するヤマガタ薬局(神奈川県横浜市)の山形光正社長に、ジェネリック不足の現状と背景を聞いた。(聞き手・構成/医療・健康コミュニケーター 高橋 誠)

“未曽有の薬不足”が
まだまだ続く

 今や水や空気のように当たり前となったジェネリック医薬品=後発医薬品(以下、ジェネリック)ですが、多数のジェネリックが「出荷調整」解除待ちとなっています。薬局には各メーカーや医薬品卸から毎日のように欠品のFAX・DMが届きます。いわゆる出荷調整FAX・DMです。薬剤師の一日はこの「欠品対応」から始まります。状況に応じて近隣の薬局に相談することもあります。

 薬局で患者さんの希望するジェネリックが処方できないと、別のメーカーのジェネリックを代替品として投薬します。大抵のジェネリックは複数のメーカーが製造し、代わりの薬があるはずですが、「代替品すらない」という状況が全国各地の薬局や医療機関で既に1年ほど続いています。 

 当薬局で扱う薬の85%以上はジェネリックです。ほとんどの患者さんは「ジェネリックに慣れている」ことになります。その慣れているジェネリックが、ほぼ全ての疾病領域で不足しています。当然ですが、患者さんは飲み慣れた薬が安心で、効き目はもちろん、色とか形とか同じであってほしいと思っています。精神科領域の薬は特にそうですね。

 飲み慣れたジェネリックも代替品のジェネリックも調達できず万策尽きると、「その薬がございません。お値段は高くなりますが先発品を代わりに」と、患者さんが好む・好まざるにかかわらず先発品で納得いただくしかありません。

「かつては先発品を希望していたのに、半ば無理やりジェネリックを勧められた。当初は違和感があったものの、ようやく慣れてきた。効き目は同じだし値段が安いのも助かると思うようになった。それなのになぜ今さら先発品に戻るのか?」

 薬不足が始まった当初は、こう詰め寄られることもありました。

 医師や薬剤師には患者への説明やクレーム対応、欠品対応が負担になっています。これほどの薬不足は21世紀に入ってはもちろんのこと、20世紀にもなかったのではないでしょうか。未曽有の薬不足といえます。こんな状況がこれからさらに3年は続くといわれています。