薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰#7Photo:Ryouchin/gettyimages

薬局やドラッグストアで患者と向き合う薬剤師。しかし、その裏では本部からの「ノルマ」に追われ、ジェネリック医薬品製造大手の品質不正の余波で深刻な「薬不足」に悩まされている。特集『薬剤師31万人 薬局6万店の大淘汰』(全13回)の#7では、疲弊する現役薬剤師たちの悲痛な叫びを覆面座談会で暴露してもらった。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

【参加者プロフィール・いずれも首都圏勤務の薬剤師】
 A氏 中堅ドラッグストア 街中店舗勤務 30代 女性
 B氏 中堅調剤薬局 門前薬局勤務 40代 男性
 C氏 大手ドラッグストア 病院門前勤務 30代 男性
 D氏 超大手ドラッグストア 大型店調剤部門勤務 20代 女性

「PBを売れ」「コラボ商品を売れ」
本部のノルマ達成のため自腹を切る

――薬剤師の皆さんに課されている「リアルなノルマ」を教えてください。

A 日本ドラッグチェーン会が作っているPB(プライベートブランド)の商品を売れってしつこい。利益率が高く、売り上げが良い店舗は表彰されるからね。まあ、売ったところで、私の給料は1円も上がらないけどね(笑)。

C 「ハンドクリームを月20個売れ」というのがありました。うちは皮膚科の門前薬局で、保湿成分は処方箋の薬で完結しているのに、その上でハンドクリームを売れというのはさすがに無理がある。だから、売った実績を作るために、自腹で買っています。ハンドクリームの卸値は調べれば分かるんだけど、ショックを受けるだろうから見ないようにしている。

D 資生堂などの大手化粧品メーカーとコラボした商品も積極的に売れって言われますよね。本社が勝手に数字決めて、ばかみたいに仕入れるから困るんですよ。つい昨日も、本部ゴリ押しの商品を来店したお婆ちゃんに薦めてしまった。

B 定番だけど「かかりつけ薬剤師加算」の件数。うちのノルマは1月18件。18人が1回ずつ来てもいいし、1人が18回来てもいい。患者さんからすると、かかりつけ薬剤師加算で支払う値段が上がるわけだから、正直お願いしにくい。だから、ノルマ達成のために、医療費がかからない生活保護の人とかには積極的に声掛けをしているよね。

――最近の一番の悩み事は何ですか。