経営危機のシャープが示した日本液晶産業の底力大阪市内にある本社の売却先も決まり、いよいよ整理すべき"大物"は液晶事業だけになった Photo by Masaki Nakamura

「世界初の4Kスマホ」──。9月上旬、ドイツ・ベルリン市内で開催された国際家電見本市「IFA2015」で、フルハイビジョンの4倍の解像度を誇る液晶を搭載した、新型スマートフォンが発表された。

 製品名は「エクスペリア Z5プレミアム」。言わずと知れた、ソニーがフラッグシップとして展開しているスマホだ。

 4K液晶のサイズは5.5インチ。画素の細かさ(画素密度)を表すppiは、806にも上るという。米アップルの新型iPhone「6S プラス」の液晶と比べると、同じ5.5インチで画素密度は401ppiのため、その高精細さが際立っていることがよく分かる。

 解像度の高さもさることながら、関係者の間で話題となったのが、4K液晶の供給メーカーが、実はシャープだったことだ。

 シャープはこれまで、「IGZO」と呼ぶ酸化物半導体の技術を使ったスマホ用の4K液晶を、次世代の小型ディスプレイとしてアピールし、試作機を折に触れて報道陣などに公開してきた。

 需要が急速に拡大していた中国のスマホメーカーにも、IGZOの液晶をこれまで大量に供給してきた経緯もある。

 そのため、今回ソニーに供給した4K液晶も、当然ながらIGZOかとみられたが、意外にも、使った技術は「LTPS(低温ポリシリコン)」だった。