予想を下回る成長率に鳥インフルエンザ
マイナスのニュースが目立つ中国経済

 最近、中国に関するニュースが気になる。中国の経済・社会にとって、マイナスの記事が目立つからだ。

 中国経済が“超”高成長期を経て安定成長期に足を踏み入れ、それまで“えくぼ”に見えていた部分が、実態的に“あばた”に見え始めた感がある。現在の中国に、リーマンショック以降、米国に代わって世界経済を牽引してきた輝きを見つけることは難しい。

 4月15日、中国国家統計局が発表した、今年1‐3月期の物価変動を考慮しない実質ベースのGDPの伸び率は、対前期比7.7%増だった。この成長率は、経済専門家の事前予想(8.1%)を下回った。

 昨年10-12月期のGDPがプラス7.9%だったことを考えると、中国経済は足踏み状態と言える。GDPよりも経済実態を鮮明に表すと言われている中国の電力消費量は、前期対比でわずか2.9%の伸びに留まり、昨年1-12月期の同4.7%増を下回った。企業の生産活動が低下していることは明らかだ。

 さらに、中国国内で鳥インフルエンザの感染が広がるなど、社会的な不安が拡大することも懸念される。インフルエンザ感染の拡大の背景には、以前から指摘されてきた中国国内の検疫体制などに問題がありそうだ。

 また、そうした問題に加えて民主化の遅れなど、様々な問題が今後顕在化してくると見られる。これから“中国リスク”を頭に入れておく必要があるだろう。

 発表されたGDPの内訳を見ると、政府のインフラ投資を中心とした投資活動や輸出が堅調である一方、企業の生産活動や個人消費が盛り上がらない姿が浮き彫りになる。

 中国政府が、投資や輸出をエンジンにした経済構造から、国内の個人消費を中心とした経済へのモデルチェンジを図っていることを考えると、今までのところ、政府が意図したほどモデルチェンジが進んでいないことがわかる。