
真壁昭夫
第31回
OKIからロームの事業売却により、半導体業界で久々に「再編気運」が高まっている。付加価値戦略で後れを取った日本企業は、もはや規模拡大へのアレルギーを捨てるべきだ。

第30回
サブプライム問題による国内大手銀行の減益額は想像以上だった。しかしこれだけでは終わらない。最大の損失は、今後証券ビジネスにおいて欧米に大きな遅れを取ることだ。

第29回
四川大地震の影響により、農産物・レアメタル価格の高騰や、格差への不満爆発が不安視されている。オリンピックを控えた中国にとっては、経済をも揺るがしかねない大惨事だ。

第28回
マイクロソフトがヤフー買収を断念した。実現すれば世界のIT産業の勢力図を塗り替える可能性があった。今回の騒動を契機に、ついに「合従連衡の時代」が幕を明けた。

第27回
最近、わが国の電気産業の業界で、企業が特定の分野から撤退するとのニュースを見かける。こうした動きの背景には、世界的な家電業界の競争激化と、企業が得意分野に経営資源を集中する姿勢がある。

第26回
今回のG7会議の様相は今までとかなり違っている。昨年のサブプライム問題以降、世界的に金融システム不安が発生しており、それを国際協調によって抑えることが至上命題になっているからだ。

第25回
インドのタタ自動車が、今夏、東京証券取引所に上場する計画だという。今回のタタ自動車の上場は、置いてきぼりを食った東京市場が、主要海外市場に追いかけるための1つの方策と見ると分かり易い。

第24回
国土交通省は今年1月1日現在の公示地価を発表。大都市圏の商業地の価格上昇傾向が顕著である。しかし見逃せない点は、昨年前半に上昇した地価が後半にはピークを打ち、むしろ下落傾向を示したことだ。

第23回
つい最近まで1ドル=120円くらいだと思っていたら、気がつくと1ドル=90円台の円高になっている。今回の為替の動きを、一言で表すとすれば、円高というよりも、むしろドル安というほうが現実に近い。

第22回
今まで、労働分配率の低下を甘受してきた労働者が、元気に賃上げ要求をし始めた。ただ、世界的な景気減速懸念が、労働者側にとって、今年の春闘にはマイナスの要素だ。

第21回
事業撤退はネガティブに取られがちだが、むしろ当然の経営戦略の1つである。最近、この言葉を新聞紙上で見かけることが多くなった。わが国企業が少しずつ変わっていることを象徴しているのかもしれない。

第20回
デカップリングとは、減速傾向が顕在化しつつある米国経済と、高い成長率を続ける新興国の経済が離れる=違った方向に進む、つまり、米国の経済が減速する一方、新興国の景気は堅調な展開を続けるという見方だ。

第19回
海外投資家が日本の空港連施設企業の株式保有を制限する、いわゆる空港外資規制の動きが見られている。しかしそれにより、日本への投資が妨げられることも懸念され、現役閣僚の間にも根強い反対意見がある。

第18回
サブプライム問題が燻り続けている現在、日銀総裁の存在意義がかつてないほど重要性を増している。武藤副総裁が福井総裁の後任との見方が強いが、衆参ねじれの中で総裁選任が遅れるようなことは許されるべきではない。

第17回
ゆうちょ銀行は来年1月から、全国銀行協会が運営する決済システムに接続することが認められた。「決済システムへの加入は、本格的な民間銀行への大きな一歩」と評価する金融専門家もいるようだ。

第16回
足元の物価の動きを見ると、食料品やガソリン、灯油など生活必需品の価格の上昇が大きいことが問題だ。それは、我々の生活を苦しくする可能性が高いからだ。

第15回
FRBは異例の大幅利下げという高い代償を払ったが、まだマーケット参加者から全幅に信用を得たとは考えにくい。一部の専門家からは「FRBは金融市場に対するコントロール機能を失っている」との批判も出る。

第14回
サブプライム問題の拡大が世界経済の減速につながるとの懸念もあり、世界的に株式市場は不安定な展開になっている。その中でも、わが国株価の低迷ぶりは目立っている。

第13回
産油国の政府資金が、世界最大の金融グループの大株主になることにはやや違和感を持つ。世界金融を思いのままに動かせるとなれば、資本市場の本来の機能を逸脱し、国家の市場支配につながることが危惧される。

第12回
北京五輪などによる輸出の拡大で、日本経済は緩やかな回復が続く見方はあるものの、サブプライム問題と信用収縮、原油価格高騰の動向次第では、景気回復の道のりは一段と厳しさを増す懸念もある。
